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BO59 fireplace chair in teak by Finn Juhl
細く優雅に削り込まれたアームは、さながら彫刻のようである。実際に座ってみると、椅子全体から滲み出る独特の味わいが感じ取れる。この椅子はどうやら時間の進行を緩やかにするらしい。しばらく閉じていた目をゆっくりと開くと、慣れ親しんだ景色がどこか懐かしく感じられ、感情の交差が日常に広がっていく。フィン・ユールの揺るぎない軸が椅子に宿っているのだろう。この椅子ならではの世界観は、間違いなく人生を豊かにしてくれる。(New leather)
Sideboard in teak with seagrass sliding doors by Florence Knoll
1948年に発表されたフローレンス・ノルの名作。(彼女は自ら「Knoll」のカタログに自身のデザインを掲載、夫「ハンス・ノル」と培った世界的モダニズムへの貢献は計り知れず、伝説の人として受け継がれている。)デザインに関する幅広い解釈が作品の隅々に行き渡り、芸術性を高めている。大胆な線とは裏腹に注意深く使い手目線を重んじる機知に富んだフローレンスの傑作といえる。非常に価値のある作品である。
Model JH 503 in oak by Hans J. Wegner
1949年、巨匠Hans J. Wegnerによってデザインされた造形の美「The chair」。J・F・ケネディとリチャード・ニクソンがテレビの討論会で座った椅子というのは、あまりにも有名なエピソード。優雅なフィンガージョイントは揺るぎない姿勢で泰然と構えている。高い職人技術が求められた非凡な曲線、そして妥協とは程遠い超凡な削り込み、秀作になるにはそれだけの理由があるのだと納得の作品である。
High back Eva chair by Bruno Mathsson
ブルーノ・マットソンが1934年にデザインした奇策妙計な椅子。形状に散りばめられた独特の曲線は非常に超越的。離れて見ると、しなやかな曲線美が空気を巻き込み、静かに日常を見据えているように映る。その姿は、とても優雅で芸術的だ。作家の心情が作品に宿り、椅子自らものづくりの楽しみを味わい尽くしているように見える。一風変わった曲線への理解が得られる逸品である。
Dining table with 2 extensions in rosewood by Johannes Andersen
ワイド152センチの美しいダイニングテーブル。ヨハネス・アンダーセンの作品だ。52センチのエクストラリーフが2枚付属している。実用的でありながら一歩踏み込んだ知的さ加減に作家の凄さが感じ取れる。生活を整える醍醐味を教えてくれそうだ。陽光に照らされ浮かび上がるローズウッドの引き締まった杢目、天板から足へと続く品の良い接合美、艶やかに丸みを帯びた天板の形状、魅了される箇所がいくつもある傑作だ。
GE236 in oak by Hans J. Wegner
様々な生活スタイルに適応するウェグナー作品、和洋問わず常識にとらわれることもない。座り心地はもちろん期待通り、いやそれ以上だ。ウェグナーデザインは、人々の暮らしを思いやり、快適な時間を約束してくれる。この作家が生み出したものを生活空間に取り入れると、自分らしさを紡ぎやすく、些細な喜びにも目を向けやすくなる。不思議だが、そういう特徴がある。
Dining chair in rosewood by Vestervig Eriksen
形状と杢目の関係性を配慮しながら木取りに神経を使う職人たち、その息づかいが聞こえてきそうな作品だ。「Vestervig Eriksen」デザインは線が非常に詩情豊か。椅子が放つ奥ゆかしい印象と、使い手の心のあり方を関連付けてみたくなる。光が杢目を照らすとき、椅子は風景の一部となり空間を純化させる。人が座ったとき、椅子は体の一部となり、その心地良さゆえ存在を忘れる。作家のあくなき探究が、目一杯日常に作用する。味のある椅子である。
BB04 Cabinet secretary desk by Cees Braakman
独特の造形美を放つブラークマン作品。素材の良さをじっくり抽出する手腕が見事だ。唯一無二の持ち味を確りと形状に落とし込み、素材の発色を生かしている。デザインに隠された魅力を見つけ出す度に、傑作が傑作と呼ばれる理由を得る。また、ブラークマン作品は使い手との距離感が絶妙だ。単に家具として存在しておらず、あくまでも作品としてそこにいるのだ。作家が信じたゆるがぬデザイン哲学が随所に宿っているからかもしれない。
Rosewood coffee table with black lacquered legs
ものを見る目を持つ作り手の技量と、季節の移り変わりを味方に付けた素材との素晴らしい融合。天板を引き立てるよう脇役に徹した黒塗りの脚がかえって豊かな表情を生んでいるのにお気づきだろうか。それだけではない、両端からスーッと出現するエクストラリーフがこの作品をもっとも押し上げている扇の要であり、使い手の勘所をくすぐる点なのだ。非常に高尚で優雅な作品である。
Model FD133 spade chair in teak by Finn Juhlb
世界中の家具ファンを唸らせ続けて久しい巨匠フィン・ユール作品。果実の実りを
感じさせる印象的なフォルムは、作家の哲学思想を表しているかのようだ。また、
優雅な座り心地には時代を飛び越えた美学的要素が詰まっている。横から見た背面
の形状、角度、湾曲したアームの美しさなど感覚が研ぎ澄まされているのが見て取
れる。透徹した芸術性は独特の妙、非の打ちどころのないアートピースである。
(New leather)
Sideboard in oak by Poul Hundevad
上品な印書を放つ鮮やかな作品。収納の配置が美しく整う様は見ていて気持ちが
良い。抽斗がスーッと手前に引き出される塩梅に作り手のこだわりが感じられる。
痒いところに手が届く気の利いたユーザー目線は、とびきりの愛着を生む。目的
に応じてしっかり役目を果たしてくれる頼りになるサイドボードだ。
GM11 Armchair in oak by Svend Åge Eriksen
座り心地を徹底的に追求した椅子、そんな印象だ。座った途端一気にくつろぎモ
ードへ。緩やかな背もたれの斜傾が心地よく、限りあるはずの座面スペースを全
く感じさせない。前脚へと繋がるアームレストは数センチ突出した形状で手の感
覚を操る。この感触が、椅子との一体感を促す効果があって面白い。体の巡りも
心の巡りも確り安定させてくれるアームチェアだ。このサイズ感ゆえ、ダイニン
グチェアやデスクチェアにもうってつけ、素敵な椅子だ。(new fabric)
J39 Shaker chair in oak by Børge Mogensen
1947年モーエンセンによってデザインされた「J39 Shaker chair」、発表されてか
ら75年が経過した。椅子から感じ取れる落ち着いた風合いは、まるで心を整え
てくれそうな印象を与える。肩の力を抜いて自分らしく進むことを後押ししてく
れているように感じるのだ。モーエンセンの作品には、暖かくてゆったりとした
木の葉が揺れているような優しさがある。惹かれる人が多いのも合点がいく。
Round dining table in rosewood by Poul M. Volther
シンプルな造形も大自然が生んだ複層美を用いることで、これほど神がかり的な
印象になるのかと、素直に驚いてしまう作品だ。みなぎる生命力がしっかりと宿
り、並々ならぬ美しさを放つ。エクストラリーフを加えた際の圧倒的な存在感も
必見だ。卓越した作家の感性が見事に生かされた惹きこまれずにはおれない作品
である。
Model KK1 dining chair by Kay Kørbing
豊かな感性がたっぷりと注ぎ込まれ軽妙に佇む姿が非常に愉快。この椅子を構成
している要素はまさしく作家の好奇心だ。当時、工業素材として瞬く間に広がっ
たファイバーグラスが斬新な形状に姿を変えた時、それまで主流だった素材との
異を作家が挙って深掘りを試みた。レザー、スチールとの組み合わせも然り、椅
子が空間を一手に担い風景を手中に収めている場面が想像できる。Kay Kørbing
の残した作品には、画して存在に深みとユーモアが混ざり合う。
Model 317 Armchair by Peter Hvidt & Orla Mølgaard Nielse
アームを支える1本の線が座面下の貫部分まで美しく辿り着いている。その様子
が非常に詩的、そこには確りとペーター・ヴィッツの美学が宿っていて、多様な
アイデアを形状に落とし込む巧みな手腕が伺える。積み上げてきた錬金技術を存
分に作品に収めているのだ。追求することへの醍醐味、そこから得られる想像以
上の成果、この作家の造形美は格別な派生現象を楽しませてくれる。
(いわずもがな背凭れも必見です!)
A circular dining table & set of four “Ant chairs” in rosewood by Arne Jacobsen
身の回りにある形状と色彩で、人生が豊かになることを教えてくれるアルネヤコブ
セン作品。ちょっとした日々の出来事や周りの人たちとの価値の共有がとても尊い
ものに感じられてくる。ものを選ぶ目が培われていく過程を愛しくさせるデザイナ
ーなのだ。この作品の特徴といえばむろん流石の素晴らしいデザインだが、注目し
ていただきたいのは、そのほとんどがローズウッドでできているという希少な試み。
肩の力を抜かせてくれる愛らしいアリンコフォルムと、素材が放つ典雅な印象が作
品の風韻を波紋へと導く。自分自身の感懐とゆっくり向き合いたくなる逸品なのだ。
AP43 lounge chair by Hans J. Wegner
大人になってから良さがわかる深みを帯びたグレー色、ファブリックを新調する
際、そちらのグレーにブラックで縁を描いてみた。平面と角が織り成す濁りない
顔がグッと引き締まったのではないだろうか。ものの見方に発見をもたらすウェ
グナー作品において、配色云々とはおこがましいが、この色合いは「光や影に
よる風景の合作」をより際立たせるように思う。脚の細い線にはスチールを採
用、微妙に表情をつけなが悠々と支える。60年前に作られた作品だが、目新
しく写るのは、独特の感性で思考を揉みほぐすウェグナー現象と言えるだろう。
(New fabric)
Armchair in Brazilian rosewood by Ole Wanscher
まさに存在の美、凛々しく佇む並外れた品性に驚かされる。細い線においても
十分に強度が保たれるよう、肘置きが座面下まで手を差し伸べている設計に。
後ろ姿の美しさも必見、高い技術さながらの輪郭だ。ヴァンシャーが描く深い
線は、季節の流れに同調し木の瑞々しさに威厳を潜ませる。まるで別世界
へいざなうように出来ている。
(こちらの作品は、良質レザーにて座面を新調しております)
Swedish shell lounge chair
きれいな円状のデザインに、ちょこんと飛び出したチークの肘置きが効いている。
作家と職人の力量が見て取れる作品だ。 居心地の良い空間を確保した時、僕たち
の心は落ち着き、しなやかな思考に向かって羽を広げる。椅子は想像以上に日常
に影響を与えているのだ。豊かな言葉や仕草にも形状が影響している。このラウ
ンジチェアがもたらす秘儀の作用をぜひご堪能いただきたい。
Razor Blade armchair in oak by Henning Kjærnulf
1960年代、HenningKjærnulfによりデザインされたユニークな形状を持つアームチェア。デンマークのNyrupMøbelfabrikのために製作されたが、象徴的な容姿から「かみそりの刃」という名が付けられた。際立っているのはフォルムばかりではない、どっしりとした座面とタフなアームレストにより驚くほど快適な座り心地を提供する。作品は雅趣に富み、鋭敏な感性が随所にあふれている。
GE-236/4 in teak by Hans J. Wegner
生活空間において、目に飛び込んでくる形状が心の持ちようを変えることは明確。ウェグナー作品は家具としてのみの役割を担っているのではなく、思考を安定させ、本来集中すべきことに心を向かわせてくれる。僕たちは生活を充実させるための極意を享受しているのだ。彼の作り出したデザインの価値は世界中に受け継がれ、そして的を射続けながらゆったりと存在している。(こちらの作品は良質生地に新調しています)
Kidney shaped nesting tables in rosewood
一つ一つ懇切丁寧に磨き上げられている柔和なネストテーブル。天板は大自然の景色を想起させる。それぞれに異なる魅力を放つ形状、点在しても良し重ねても良しと個性の在り方が素敵である。どこか微笑ましい人懐こい丸みや、追求の果てに生まれた脚の繊細さなど、これらを併せ持つ作品になかなか出逢うことはない。並々ならぬ存在感をぜひ書き添えたい秀逸作品だ。
Flag Halyard chair by Hans J. Wegner
ウェグナー作品は決して枠に捉われることはない。独特の美学は迷いなく作品に注がれ、まるで絵画のように存在する。吸い寄せられるような体の馴染み方、躊躇することなくその感覚を受け入れて欲しい。デザインの持つ力は偉大だと再確認するだろう。作家が真摯に積み重ねてきた感性の蓄積を、感受できる悦びはひとしおである。息を弾ませるように組まれた構造美は、開眼の源になるのはいうまでもない。卓絶した逸品である。
Coffee table in rosewood with Royal Copenhagen tiles by Severin Hansen Jr.
セヴェリン・ハンセンの作風は家具通を唸らせる。天板に用いたタイル(ロイヤルコペンハーゲン)の繊細な佇まいと程よく調和されたローズウッドの配分が非常に美しい。静寂の中に充ちる知性、もはやテーブルの域ではない。日常生活に溶け込みながら思考を柔軟にしてくれるまさに芸術作品である。
Model 68 dining table in oak by Harry Østergaard
天板杢目から醸し出ている固有性が際立っていて美しい。ついつい見惚れてしまう。自然の流れが細波のように忠実に刻み込まれている様子は、日本人が持つ豊かな詩情とどこか結びついているように感じる。使い込むほどに愛着が宿るテーブル、皆の笑顔が集結するテーブル、日々使うものにこそ拘りたい、そんな方におすすめの作品だ。ご満足いただけるだろう。
DU03 Japanese series cabinet by Cees Braakman
奥深さを物語るようにずっしりと落ち着いた風格、均整の取れた絶妙な配置、誠実さが伝わる美しい作りは忘我の境である。また、ブラークマンのデザインにおいて、抽斗内部は重要な領域、美しい曲線美であしらわれた収納部は見ているだけでため息が漏れる。細密に計算されたメタル・チーク・プラスチックのモダンな役回り、組み合わせ方も素晴らしい。余韻に浸らせる作品だ。
Lane perception coffee table with drawe
このユニークな形状が日常にもたらす効果は非常に大きいだろう。天板エッジのコントラスト、抽斗の意匠に加え、脚のトライアングル、多角に広がる発想は直感を冴えさせ、現成を愛おしくさせる。作家の独創的な価値観を素直に作品に落とし込むことができた時代を羨ましく感じるほどだ。作家の感性と自然が生んだ奥ゆかしい素材、その重なり具合をご堪能ください。
Easy chair in solid teak
前方から見える貫の形状が非常にユニーク。座面と背面そしてアームレストとの関わり方、美しい留形の組み接ぎ意匠も含蓄に富んでいる。この鋭くも優しいデザインがデンマーク製らしいところ。目には見えない細部の調整にさえ決して妥協を許さない。家具製作への果てしない探究と素材へのリスペクトが詰め込まれた素晴らしい作品だ。(New fabric)
NV45 in teak by Finn Juhl
フィン・ユール作品の極意ともいえる美しく磨きぬかれた曲線美、使い手の胸懐を映し出すかのように和やかに見えたり思慮深そうに見えたり。この作家が世に送り出した作品は、年月が経つにつれ、日常の中で味わいを増しながら作品自ら物語を綴っていくという特徴がある。また、醸し出す空気感には新奇な光景が含まれる。非凡な椅子に人生を投影したくなる興趣尽きない作品である。
Model 309 sideboard by Peter Hvidt & Orla Mølgaard Nielsen
「なんという禅味な美しさだろう」作品と出会った瞬間 思わず息をのんで感嘆した。同時に、作家から絶大な信頼を得ていたであろう腕利き職人の芸術とも言える高い技術に悉く見惚れてしまった。ピーター・ビットとオルラ・ムルガード・ニールセンが描いた家具デザインにおける精緻の極限、美の追求を至るところに鏤めて存在している。家具の領域に収めるには忍びない造形美である。
F1 desk chair by Willy Van Der Meeren
突如アートへの回路が開き思いがけず突進、今まで知らなかった世界が目の前に現れる。椅子という形状に収まった表現物は、ヴァンダ・ミーレンの感性を噴出させて存在している。一線を画す色合いも特徴的だ。流れていく束の間の日々だが、時には立ち止まって時代とともに移りゆくデザインへ想いを馳せるのもいいものである。突進して得たアートの破片は今後の人生を有意義にしてくれるはずだ。
Model 51 chair oak & cane by Arne Vodder
オーク×籐の均整についつい見惚れる作品です。兎角この時代においてはよくある組み合わせですが、しかしながらアルネ・ヴォッダー独特の美学による融和的形状と微妙な角度表現で圧倒的な魅力を羽ばたかせています。有機的な印象を受けるのは、「自然美からインスパイアされていた」という記述の表れでしょう。素材と形状が共鳴し合う姿を存分に味わっていただきたい、そう願っています。
Wire chair by F.H. Fiedeldij
ヴィンテージワイヤーチェアが生み出した当時の多角的世界観は非常に鋭く興味深い。ミッドセンチュリーに育まれたモダンデザインの感触を一手に担う節があるように思う。素材が想起させる真っ直ぐなイメージに、比類無き感性が加わり、このような面白い形状がデザインとして成り立った。「想像に訴えかける要素」が内在し、ついつい吸い込まれるのだ。現代アートと生活必需品の境界を曖昧にした魅力は計り知れない。時代の鬱憤を解き放ちながら人々が求める心の換気をも促し続けている。
Low tambour doors sideboard in teak by Kai Kristiansen
なんという美しさだろうか。醸し出す印象は壮麗でどこか詩情的、眺めると呼吸がゆっくりになっていく。物事を思慮深くさせる作品だ。悠然と構えた真っ直ぐな線、勢いが失われず生きたままの杢目、神秘を纏う奥まり、感覚が研ぎ澄まされる美しさだ。どんな場所に落ち着くことになるのか、今これを書きながらそちらに重きを置く自分がいる。実際にご覧いただきたいカイ・クリスチャンセンの傑作である。
Balloon chair by Hans Olsen
チーク材×メタル× スウェードで構成された極めてユニークなつくり。傑作が日常の中で冴え渡る個性を放つ姿は非常に印象的。ハンス・オルセンデザインは、イノベータだけが見ている世界を惜しげもなく形状に落とし込む。それはまるで降り注ぐアイデアの乱舞を見ているようで触発される。使い手は窮屈だっだ思考が羽ばたいていくのを実感するだろう。
CB01 combex series cabinet by Cees Braakman
良質素材が持っている独特の価値を最大限引き出すことに労力を惜しまない。鋭い感性で線を引き、作品の奥底にまで日頃の洞察を降り注ぐ。ブラークマン作品を目にすると、出会えた喜びが溢れ出す。この作家特有の知性、モダニズムへの合理的目線、構造美への追求、様々な心得を形状が語り尽くす。非常に貴重な作品である。
Kidney small side table
目に飛び込む杢目の凛々しさが感興をそそる作品。触れると反応が返ってきそうな美しい天然素材と鋭い感性のコラボ。小ぶりだが、その作りは非常に繊細で丁寧、遍く手がかけられている。70年の年月をどのように過ごしてきたのか、時代の移り変わりとともに刻んだ趣は使い手に温雅な道筋を見せるだろう。
Sideboard in oak
素材の持つアビリティが形状にすっぽりと収まった。誰にも邪魔されずに伸び伸び育った天然樹木が、その天真爛漫さを見事に生かしきって具現化している。デザインの才幹と使い手に向けた懇到が作品に秘められ、経年美と共に佇む。どんな時も風合いを感じさせるのは、手を掛けられ熟考を繰り返して作られているから。今では出せない「味」が漂っている。
BO59 fireplace chair in teak by Finn Juhl
削り込みによって生まれるしなやかな杢目ラインは息をのむ美しさ。まるで自然との合作のように存在している。視線をずらすと見えてくる座面下のX接合部は、超然とした印象を放ちながら貫の作用を担っている。フィン・ユール作品に見られる輪郭線に座面を置いたような特殊なデザインは、線が細いからこその効果が絶大。彫刻作品と言っても決して過言ではない。
Coffee table with V-shaped legs in solid teak
作り手の一途さが伝わってくる趣深いコーヒーテーブル。真っ直ぐ成長したチーク無垢材を、真っ直ぐ素直に形状化している。斬新で生き生きした作品に仕上げる高い技術には見惚れるほど。また、均整の取れた優美な天板、脚先へ向かう鮮烈な削り込みが記憶に残る作品である。
“Monaco” sideboard by Gerard Guermonprez
ミッドセンチュリーに活躍したフランス人デザイナー 「ガーモンプレ」による希少な作品。美しい質感を生む高品質エルム材突板を用い、形状の迫力に拍車をかけている。真鍮を施した足先の下駄は調節可能、取っ手のない4つのドアはサイドブラスボタンにより開閉するという斬新な仕組みとなっている。直線のみで構成された堂々たる作品、内部にはデザイナー名が記載された真鍮製のラベルプレートが取り付けられている。
Hairpin desk in teak by Cees Braakman
ブラークマンの突出加減が如実に現れている。それまで気付かれることがなかった観点から家具作りに取り組んでいるのが見て取れる。天板と抽斗の間に設けた空間の形状は飛び抜けた感性を表し、同時に機能美としてのこだわりぶりも発揮している。強度を利用した鉄の三本脚が本体を宙に浮かす極めて斬新な手法も見応えがある。この作家が物づくりを操る才腕は底知れない。非凡の域に達した逸品である。
Rare C3 chair by Frank Guille
カールジェイコブスがデザインしたジェイソンチェアをフランク・ギレがリ・デザインしたレア作品。眺めていると椅子自体が創作されたことを楽しんでいるかのように映る。技法のユニークさが独特の世界観を紡いでいるのだ。ギレが数々の作品に宿したインスピレーションは、後生あらゆるジャンルのアーティストたちに影響を与え続けた。特色ある形状は得意気なオーラを放ち、使い手を自由な境地に連れて行ってくれる。アートピースと暮らす尊さを実感できる作品だ。
Karen easy chair by Aksel Bender Madsen
背面にぐるりと回り込んだ一本の曲線美が、そのままアームレストを形作りしなやかに伸びていく。難しい角度を設けながらの削り込みが椅子全体の形状を引き締めている。また、チークとオーク素材それぞれの比率が非常に繊細な印象を放つ。さらに両サイドの貫デザインと座面を支える格好で配置している前後の貫が異なる形状をしているのも妙計。それらはリクライニングの際に確りと役目を担ってくれている。使い手を心地よく快適にリラックスへと導く、この作家の作り出すデザインはどこか抒情的で惹かれるのだ。
Egg fireside chair by Miroslav Navratil
多角に組まれた脚のラインが絶妙なバランスで卵型デザインを支えている。作家の探究心を想起させるユニークな形状は、そこにポツンとあるだけで辺りを和ませ微笑ましい空気を育む。背からポッテリと座面へ描かれた緩やかなくぼみが印象深い。生活空間に馴染んだ頃合いには、独自のストーリーが生まれているはずだ。深く余韻に浸らせてくれる可愛い椅子である。
Tonneau chair by Pierre Guariche
作家の個性が色濃く映し出されたユニークな作品は何処から見ても興をそそる。ガーリッシュデザインは、存在自体が奇跡を感じさせ、紡いできた時間を尊くさせるという特徴がある。影響を受けずに通り過ぎることはできない。めまぐるしく移り変わる風潮の波をものともせず、悠揚に佇む姿に感動すら抱く。作品が放つ魅力に注力すると、使い手側の可能性まで広がりを見せ始める。約70年の経年美、これから先益々魅力を増すに違いない。
Super Ellipse dining table in rosewood with 2 extension leaves by Piet Hein / Bruno Mathsso
素材の扱い方が非常に鋭敏、特殊な形状×ローズウッド×スチールの組み合わせが素晴らしい。相互間に生まれる影響は絶大である。この対照的な素材の組み合わせを、マットソンは自由自在に作品に取り入れている。テーブル自体がアートゆえ、目的以上の多様な展開が期待できそうだ。さらに2枚のエクステンションリーフが付属している。希少どころか今では入手出来ないローズウッド素材、それがこれほどふんだんに使われ、実際に使用できるとは、ちょっとした魔法のようである。
CU07 Japanese series cabinet by Cees Braakman
1958年オランダのPastoeUMSのためにデザインされたジャパンシリーズ、中でも小ぶりなライティングデスクは使い勝手が良いことから、当時より人気を博した作品だ。脚と取っ手部のブラックアクセントが作品をグッと引き締め、比類ない形状を圧倒的にかっこ良くしている。独自の視点を探り当てて造られた逸品はどこか詩的で心酔させる。ブラークマンは、やはり密度の濃い手腕家である。
Vintage industrial table iron and wood
いつだったろうか、昔観た映画の記憶を探る、このテーブルはまさにかつてのワンシーンを具現化したような佇まい、その風景を懐かしく蘇らせながら眺めていた。ひたむきで真っ直ぐな印象、そんな当時の熟練職人によってつくられた家具。技術を極めた修復が繰り返され「経年美を帯び現在に存在する」という温かさも含んでいる。これこそが「ヴィンテージ の良さ」だと、じっくり味わえる作品だ。
Model 71 dining chair by Henning Kjærnulf
しなやかに湾曲した背もたれが特徴的。黒塗装、チーク材の適性をそれぞれに生かしてメリハリを生んでいる。座り心地に関しては、背もられから伸びたアーチの両端が、程良い肘置きへと役割を分担しながらリラックスを促す。長く座っていても疲れず、大きな満足感が得られるつくり。ダイニングチェアとして申し分ない作品だ。(デンマークから取り寄せた色彩豊かな良質ファブリックにて張替え済みです。)
AP19 Papa bear chair in teak by Hans J. Wegner
自由に幅広くデザインを操る巨匠家具作家ハンス・ウェグナー、閃きの先に生まれた極上の椅子は、時間の進行にしたがって、どんどん希少性が高められ益々価値を生み続けている。体をすっぽり包み込み、ゆったりと安息を促す形状は細部に至るまで素晴らしく作り込まれている。経験を積み、鍛えられた技術と共に抜きん出た感性がウェグナーらしい。パパベアチェアが風景の一部となった時、繰り返される日常が尊く感じられるはずだ。人生に奥行きを与えてくれる名作である。
Industrial tubular steel stacking chairs with fiberglass
意識の奥に内在しているインダストリアルな風景、当時の様子が溢れんばかりに作品に浸透している。フォルムや素材に染み込んだ追憶が、格好良く映るのだ。静かに且つ詩的に佇み、心を癒す。かつて、時代をダイナミックに巻き込んだ工業の波が、今は静かに作品の内側に眠る。その塩梅が風合いとなり、趣深い味となる。やがて味わいは波紋となり、空間に規格外の輝きを宿す。まさに含蓄ある素敵な作品である。
Long sideboard in rosewood by Ib Kofod-Larsen
なんとも見事な杢目である。眺めれば眺めるほど静謐で風雅、自然の神秘を感じさせる。まるで生きているかのように伸び進む木の模様は、形状に添いながら端座している。イブ・コフォード・ラーセンが育んだ素材への理解、その深さが表れて周りの空気にまで反映される。もちろん、収納部についても驚くほど美の探究が封じ込められている。質の高い形状、耽美さに想いが膨らむ作品である。
Armchair by Askel Bender Madsen & Ejner Larsen
挑戦的な試みが緊張感を醸し出す。デザインの彼方に想いを馳せるほど美しい椅子。陶酔を誘う造形に覆いかぶさるようにレザーが施されているが、それゆえの輪郭が何とも言えない味を出す。アイナー・ラーセンとアクセル・ベンダー・マドセンが共同で生み出した作品の数々は非常に特徴的で冒険心に溢れている。創造の奥深さを楽しんでいるように映る。椅子の役割が、それ以上になることは間違いない作品だ。コンディション詳細・在庫確認・送料に関しましては、大阪06.6110.8886 または、info@swankysystems.jp までお気軽にお問い合わせください。
Model 3105 mosquito chair by Arne Jacobsen
時として愉快で遊び心を生かせるのは、それまで培ってきた頼りになる経験と深い知性が強みになっていることが多い。ヤコブセン作品はその代表格。徹底した独自性を優雅に楽しむ印象が強いのは、経験と知性の表れだ。斬新且つ鋭い感性が形状に溢れて光っているのだ。(ユニークな椅子を空間に置いたときの効き具合には驚きである。)世界中で広がるヤコブセン作品の底知れぬ魅力は凄い。モスキートチェアもまた日常を好奇心溢れるものに導いてくれそうだ。
C44 round dining table in oak by Jørgen Bækmark
御年92歳、あくまで独自のスタイルを貫きながら、使い易さに重きを置く。ヨーエン・ベックマークは大工仕事を学んだのちに家具デザイナーへと転身しただけあって、丁寧な仕事ぶりは見ていて爽快だ。さて、今度は至近で作品を観察、すっかり過ぎてしまっている年月が不思議なほど新奇でモダンな佇まいに驚く。珠玉のデザインとは、まさにこれだとため息が漏れた作品。
“Bikini” lounge chair by Hans Olsen
この作家の作品は、家具好きの中でももっぱら通好み。一度見ると目に焼き付く独特の美学が持ち味で、使い手はアイデアの間口が拡大するのを実感できるはずである。たった一脚の椅子との出会いが人生を変えることだってある。ハンス・オルセンの素晴らしいデザインは霞む眼をクリアにするだろう。ため息が漏れるほど素敵な作品なのだ。
High back falcon chair by Sigurd Ressell
横から見ると良くわかるが、背面と座面下から伸びた萼のような形状が、レザークッションをハンギングしている。ややゆとりを持たせてデザインされた背の構造が、体とクッションをしっくりと馴染ませリラックス効果を生む。シグード・レッセルのデザインは心身を委ねたくなる座り心地と、どこを探しても無駄は見当たらない快美なデザインが特徴的。理想の時間を提供してくれるだろう。
H269 lounge chair by Jindřich Halabala
チェコスロバキアの家具デザイナー「ハラバラ」の傑作。作られた時代は1930年代、約90年前に誕生したことになる。豊満な見た目に相応しく座り心地はこの上なく優雅だ。曲木技術を自在に操り、存分に表情を作っている。座ると緊張がほぐされ、しなやかな思考を引き寄せる。生涯を通して、作家、技術者、教育者と多岐に渡り活躍したその根幹には、バウハウスの理念が基づいていたとされる。第一次世界大戦、第二次世界大戦とその狭間で独自のデザインを貫き通した強い信念が、作品にしっかりと宿っている。
DCW by Charles and Ray Eames
時代の流れに左右されない不動の格好良さ、イームズ夫妻の哲学はデザインに鏤められ、形状を目にするたび僕たちの心をときめかせる。この大地にしがみつく生き物のような、あるいは人懐っこいオブジェのような、独特の感性の塊が何か素敵なものを運んでくる予感がするのだ。磁力のようにイームズ作品に惹き寄せらせるのは、感受性が素直に働いている証拠かもしれない。見れば見るほど素敵な作品だ。
Cube nesting tables in solid teak by Jens Harald Quistgaard
作品からほとばしる瑞々しい刺激が特別な光景を生み出す。クイストゴーの世界観はすこぶる超越的である。人生を深く広く視野を広げよと誘導してくるのだ。空想と戯れながら思わず微笑んでしまう。無垢のチーク材が組み手の美しさを強調、斜走木理で意匠を表現、仕事の入念さが作品を神秘に近づけている。アイデアを彫琢し、素材を美術品へと導くクイストゴーの手腕には驚くばかりだ。
Model FH 9230 armchair by Henning Larsen
思い掛けない作品と出会った。デンマークが誇る建築家ヘニングラーセンの作品だ。ミッドセンチュリー時代、次々と生み出された息をのむ建築物は、その斬新さゆえあらゆる方面に多角的影響を与えた。椅子の形状とスチールの輝きに当時「光の巨匠」と呼ばれた所以が見て取れる。
AP38 Airport chair by Hans J. Wegner
1959年、コペンハーゲンのカストラップ空港内ラウンジ用にデザインされたAP38は、空港ならではの様々な特徴を持つ。子供からお年寄りまで立居がスムーズにできるよう絶妙な角度を設定、たとえ恰幅のよい人が勢いよく腰をかけてもびくともしない強度、予め内側にL字スチールが嵌め込まれているのだ。L字はデザインとしても絶妙なバランスを担っており、椅子全体の威容を鼓吹している。なぜウェグナーの作品が人々を幸せに導くのか、どうやら作品に思い掛けない機微が宿っているようである。
CU01 Japanese series cabinet by Cees Braakman
1934年、PASTOEで家具作りに携わったのが弱冠17才、非常に若い頃から才能を開花させた作家だ。デザインを始めてから13年後にアメリカを訪れた際はイームズ夫妻が手掛けるデザインに呼び起こされるものがあった。また、のちの日本滞在では日本が誇る”用の美”に魅せられ、「Japanese series」が華麗に誕生した。長い年月をかけて培ってきた家具作りの経験が形状に響き渡っている。デザインで浮き彫りになる素材の役目も決して蔑ろにしない。シーズ・ブラークマンがデザインした作品は、今後ますます貴重になると想起される。
Bookshelf with desk in oak by Johannes Sorth
どの部分を取ってみても使い手への心遣いが感じられる。スムーズに開閉する蛇腹の内側にも細かい細工が施され、日常使いの満足度を満たしてくれる。ものづくりに対しては「誇りと責任感」両方がないと長くは続かない、当時のデザイン記述の言葉に納得である。作家の充実した感性や隅々まで配慮の行き届いた職人の心意気が気持ち良さを生む作品である。
Wire leaf pattern lounge chair by Cees Braakman and A. Dekker
ブラークマンとデッカーのクリエイティブさが意気投合、それまでの経験値が確りと合致、彼らの感性が一つの作品に注ぎ込まれた。家具とアートの境界線を有意義に楽しむと同時に、インダストリアルの波を存分に味方につけ相互に価値を高め合った。追憶のデザインが今なお与え続けている影響は大きい。卓出したアートピースだ。
F1 desk chair by Willy Van Der Meeren
鋭い視線と行動力でベルギーのモダニズムを牽引、飽くなき追求のもと生まれた逸品たちは、膨れ上がるほどに好奇心を刺激する。当時、ヴァン・ダ・ミーレンが設計した建築物や家具は、超越的デザインと世間を驚かせた。建築に用いたプレハブ軽量資材は、柔軟で社会性に富んだアイデアと称され、信頼できる造形美のへの道標となった。感覚を研ぎ澄ませ作品を作り、それを提供することで一層彼の中の芸術がリアリティ化したのだ。既成概念に囚われることなく生涯独自の美を追いかけた彼の一途さが、作品の隅々まで行き渡っている。
AT 312 dining table in oak by Hans J. Wegne
清澄な空気感に思わずため息が出る。全ての角が美しい丸みを帯びている。見えない箇所にまで微細な工夫が施されている。使い手に対するウェグナーの配慮の深さ、惜しみない考慮が垣間見える。作り手が自身を追い込み、ものづくりに真剣に取り組む姿勢が作品に表れている。デザインの真骨頂、伸縮の美もまた溜息を誘うだろう。
Spinetto dining chair by Chiavari
場所を選ばず、今そこにある空間を美しく際立たせる。スピネットダイニングチェアは、輪郭に含まれた絶妙なラインで景色を見事に吸収し、そして経年美を目一杯に解き放つ。キアヴァリが抱いた美の概念が卓越したデザインに反映され、今も存在している姿を見るとそれだけで感慨深い。「椅子のある風景」という言葉がぴったりな作品だ。
Armchair in Brazilian rosewood by Ole Wanscher
彫刻作品と言っても過言ではないだろう。優雅で趣あるデザインだ。まずはアーム、緩やかな曲線を描きつつ美しい流れのまま肘置きとしての役割をまっとう、接合部というよりは自ら座面を挟み込むというデザインに目を奪われる。ヴァンシャーらしい設え(しつらえ)だ。それまで世界中にあったあらゆるデザインを研究し作品に生かしている。後脚の形状はアンピール様式を彷彿とさせるし、家具の原型が生まれた古代エジプト時代から18世紀の英国デザイン、中国デザインに至るまでをヴァンシャーらしいシャープな視点で作品随所に刻み込んでいる。(その後、萌芽的に誕生したモダンデザインは概ねヴァンシャーの影響を受けているのは言うまでもない。)無駄なものを剥ぎ落とし、究極の削り込みが施された作品に余念ない作家魂が見て取れる。眺め続けても決して飽きることのない作品である。
Sideboard in solid oak by Kurt Østervig
研鑽を積んだ作家ならではの細密さ、全てに於いて収まりが良い。用いられた無垢材はずっしりと重厚さを醸しながら、確実に使い手の要望に応える。その様は当意即妙、作家の想いが作品を通して届けられる。収納部を見ていると、物の整理整頓が心を整える近道だと念を押されたように感じた。端然とした姿が非常に美しい作品である。
Model JH 503 in mahogany by Hans J. Wegner
1949年、巨匠Hans J. Wegnerによってデザインされた造形の美「The chair」。J・F・ケネディとリチャード・ニクソンがテレビの討論会で座った椅子というのは、あまりにも有名なエピソード。優雅なフィンガージョイントは揺るぎない姿勢で泰然と構えている。高い職人技術が求められた非凡な曲線、そして妥協とは程遠い超凡な削り込み、秀作になるにはそれだけの理由があるのだと納得の作品である。
Chest of drawers in rosewood by Niels Clausen
つつがなく静謐な印象を放つ実に魅力的な作品である。濃淡が美しいローズウッドの風合いが、形状と共に波動を響かせる。自然を感じながらデザインを尊ぶ秘訣が詰まっているようだ。家具といっても侮ること無かれ、作家が精魂込めて作った作品だもの、知識や情報、気候の変化さえも吸収し経年を重ねている。あなたには聞こえるだろうか、人生は工夫次第だと傑作が語りかけている。
FJ-02 sofa in yamazakura by Finn Juhl
フィンユール作品に関してたくさんのことを学んできたが、そびえ立つ豊かなデザインを目の前にすると全てを理解したなんて烏滸がましくて到底言い難い。逸品たちが隠し持つ静かで奥行きのある世界は、眺めると微妙に振動を始める。それらは感性への刺激となって使い手にインスパイアする。手間のかかる作業に誇りが煌く瞬間だ。磨きのかかった輪郭は新しい世界を受け入れる。作り手と使い手、時空は違えど作品が引き合わせる妙趣は人生の大冒険である。
Balloon chair by Hans Olsen
この椅子と過ごすことで、今まで知らなかった選択肢が生まれそうだ。いや、選択の基準に変化が起こると言った方が正しいかもしれない。加わったのは飛びっきり魅力的な選択基準、ユニークな形状と暮らすと思いがけないアイデアが思い浮かぶものだ。素通りしていた自身の感度に輝きが芽生え出す。ものの捉え方が解放され、興味深い立ち位置を好むだろう。Hans Olsen作品のユニークな形状は、あなたの視野を広げ、そして視座を高め続ける。アートピースとの出会いとはそういう発見を手に入れることである。
Coffee table/ side table in rosewood
悠然と構えた姿を隅々まで目で追う、はっと我に返る、気がつけば見惚れてしまっている。作家の見てきた風景がじわじわと作品に滲み出ているようだ。デザインされてから60年が経過、しかし作品はびくともしない。両端のエッジを引っ張るとエクステンションリーフが凜然と顔を出す。(職人の腕の見せ所!)あまりの美しさに声が出そうだ。丁寧な当時の手仕事、今から思えば気が遠くなるほどの工程を辿っている。
High back falcon chair by Sigurd Ressell
シグード・レッセルの瑞々しい感性がそのままデザインに投影された作品、いつ見てもとても興味の注がれる独創性豊かなデザインである。花弁を守る萼のように四方から座面を吊り支える、座ったときの体の塩梅が見事なまでに調和する抜群の座り心地、まさしくオンリーワンの強みが凝縮した作風が楽しい。
Model OS 36 sideboard with tambour doors in rosewood by Arne Vodder
表現の形式が理想的、サイドボードが自信満々に作家アルネヴォッダーの熱情を伝えている。丹念に作り込まれた細やかな配慮も包み隠さず魅せてくれる。徹底的に磨かれた感性がものづくりに挑んだとき、様々な枠が外されることを理解する。作品の根幹をつかまえながら感受性を見事に投影するのは並々ならぬ深智である。彼の作品が時代の産物として取り上げられるのも得心がいく。さて、言い忘れてはいけない、この作品は裏面にも拘っている。惜しみなく綺麗に突板があしらわれているのだ。部屋の間仕切りやパーテーションとしても大活躍、機能美さながら多用途という面も重ね持っている。
Tray table in rosewood by Poul Hundevad
ローズウッドの表情がさりげなく辺りの空気を巻き込み、じわじわと心を惹きつけてゆく。見ているといつの間にか気持ちが穏やかになり、安堵にも似た感覚にさせてくれる。どこまでも配慮の行き届いた、見事な削り込みはセンシティブでまるで生き物のようだ。細い線が互いに支え合い絡み合う様子はまさに芸術的。天板が静かに外れ、トレイに姿を変えるとき、あなたはエッジの削り込みを手の内にする。それは、作り手の知恵に裏打ちされた美しさの究極の形である。
DB01 sideboard by Cees Braakman
なだらかな木肌の流れにユニークな脚先、美しい描写が円熟を見せつける。ブラークマン作品は心の振り子にそっと手を差し伸べ、ゆっくりと楽しむ術を教えてくれる。デザインに紛れ込ませた作家独自の手腕が随所で効いているのだ。降り積もるアイデアを一つ一つの作品に封じ込めたブラークマンの個性がキラリと輝く作品である。
‘Pirkka’ Dining set by Ilmari Tapiovaara for Laukaan Puu,
とっておきの空間作りを人生に例えたい。そこにはアイデアの柔軟性が必要不可欠。十分な経験があなたの今後を左右するように、目に飛び込む空間があなたの生み出す思考を左右する。つまり、目にするものが人生を作っているということ。デザインに宿る並外れた才能、律儀な線、その先に続いている景色、芸術作品ゆえ生まれる言葉などなど、揺るぎない個性を爆発させるタピオヴァーラ作品は、いつだってデザインの重要性に気づかせてくれる。使い手の人生に面白い現象を引き起こすのは言うまでもない。
Model 2213 Sofa by Børge Mogensen
心を掴んで離さない希少素材が形状を更に魅力的に押し上げている。巨匠ならではのデザインは、使い込むほどに味わいが増していく風合いの伸び代が素晴らしい。追求のその先をじっくり楽しんでいるような作品である。優雅に雑詠を慈しむゆとりのようにあれこれと思考の巡りをよくしてくれるのは、モーエンセン作品から学ぶ「形状の吟味」や、因習にとらわれない斬新さからの恩恵。力強さの中に優しさを調合してくれる作風は、決して色褪せず長く愛され続けるに違いない。
Model 210 bar coffee table with Willy Meysmans ceramic by Alfred Hendrickx
テーブルの中に小さなバーが備わっているなんてなんだか素敵だね、とディーラーと笑い合った。1956年、デザインの幅がぐんと広がりを見せた時代、Belformのために設計されたAlfred Hendrikckxの作品は、その斬新さから注目を浴びた。黒い漆塗りの木製ベースが角度で表情を出しながらスライドパネル付きの隠しバーにユーモアを注ぐ。さらに覆われたセラミックタイルで個性を爆発させるという塩梅。デザインの醍醐味がギュッと詰まった笑顔を誘う作品である。
Bang&Olufsen Stereo rack in rosewood by Jacob Jensen
この形状に潜む思い掛けない天分が、作家の気っ風を思い描かせる。数々のプロダクトを生み出したイェンセンならではのもの作り、作品を置いたときの風景が使い手の日常に与える影響を細部まで見計らっていたような面倒見のよさである。宙に浮いた独特の輪郭が至極美しく、機転を効かせた間仕切りの配慮と合わさって限りなく個性的だ。作家の気持ちと使い手の気持ちが合致したことを強く感じ取ることができる素敵な作品である。
Amsterdam chair by Pierre Guariche
奇跡的に出会えたガーリッシュ作品、目に飛び込んだ瞬間日本へ連れて帰りたいと強く願った。いつもより格段にワクワクの回路が太くなっていた。素晴らしい家具との出会いは、その先に待ってくれているお客様の笑顔だったり、暮らしに芽生える素敵な脈絡だったりを想像させてくれるのでとても貴重だ。今まで平坦だった物の見方を立体的にしてくれるのも実は日常目に留まるデザインのおかげだったりする。時折おとずれる脳漿を絞る瞬間とて、今まで見てきた形状に影響を受けていることも少なくない。今ここで、読んでくださっている方に、このような形でガーリッシュ作品を紹介できる喜びは何ものにも替え難い。
Landi armchair by Hans Coray
スイスのデザイナー「ハンス・コレー」がデザインしたランディチェアをご存知だろうか。当時非常に珍しかった板状のアルミを圧縮し、パンチングを施した作風にはバウハウス時代独特のセンスが宿っていて興味が注がれる。もともとは1939年に行われたスイス国際博覧会(Schweizer Landesausstellung)のためにデザインされたのだが、才能に富んだ傑作は瞬く間に広がりを見せ、デザイン史に残る名作となっていった。時代が変化しようとも、良いものは受け継がれしっかりと残って行くのだ。
Heritage chair in mahoganyby Frits Henningsen
全てが円熟、美の骨頂である。これほど美しい逸品「Heritage chair」に出会えるとは、家具屋冥利に尽きる貴重な体験である。Heritage chair はその名の通り、存在自体が遺産であり伝統なのだ。ヘニングセンデザインの創意溢れる優雅な曲線美は貫禄と隣り合わせにロマンチックな印象を抱かせる。独創的に波打つ形状が、今まで知る由もなかった世界へと案内してくれる。この偉大な作品が持つ無双の風格、ぜひ店頭でご覧いただきたい。
The cross lounge chair in teak by Fredrik Kayser
大きく息を吸い込んで作品との対面に少しの緊張感を紛れさせた。目の前に現れたカイザーの作品は、実に妙を得ていて何者にもとらわれない自由な面持ちでたたずんでいた。いつもお世話になっているディーラーから「The cross lounge chair」を見つけたと連絡が入った時、僕は正直言うとその時点で既に日本へ連れて帰ることを決めていた。この並外れた素晴らしいデザインを、家具好きの方々と共有したいと願うのは僕の癖で、そのために家具屋を続けていると言っても過言ではないのだ。フレデリック・カイザーのデザインには極めて感性を冴えさせる節があり、そして普段気付かなかったポイントへ着眼させてくれる。あっぱれで型破り、それでいてグッとくる傑作なのだ。
H269 lounge chair by Jindřich Halabala
チェコスロバキアの家具デザインを牽引、インテリアデザインの先駆者として名を残した「ハラバラ」の作品は、世界中でも評価が高く家具マニアが到達する究極の一脚だとディーラーが話した。1930年代、時代背景と共に様々な要素が組み合わさって、とびきりの「愛嬌」が生まれた。ハラバラのデザインは飛び抜けて印象が深く、ユーモアに溢れており、そして見る側を虜にする。曲木が描く優雅さは、椅子の領域を遥かに飛び越えながら不思議な世界へと招待する。とっておきの作品と過ごす日々はまるで物語のようである。
DU02 Japanese series sideboard by Cees Braakman
過ぎ去ってゆく時間を蔑(ないがし)ろにせず、日々の移り変わりに優しく耳を傾けたい。心の持ち方が日々を紡ぐ一張一弛のような役割に、そうして素敵な人生が出来上がる。目に飛び込む景色の中に美しいシーズ・ブラークマンの作品があった。しばらく見惚れ忘れてしまっていた瞬きを繰り返す。やはりこの作家の作り出すものは、用途の役割だけで存在しているはずがない。経年を刻みながら趣を携え、日々の暮らしに充実を残す。使い手の心情によって変化する表情も、人生を恭しく見守っているようである。
Model134 easy chair in teak&oak by Hans Olsen
質の高い完璧な曲線が日々を通してあなたの感性に語りかける。その作用は絶大、何を見てきたか何を感じてきたか、今まで培われてきたあなたの感性をハンス・オルセン作品は掌を広げて受け止めてくれる。広がり続ける固有の想像力を掻き立ててくれる。人生は流れる時間の積み重ね、日々を大切にしている人々がデザイン性豊かなものに惹かれるのは、作品が発しているオーラを感じ取りながら自身の心象に投影しているからではないだろうか。年数を重ねる醍醐味は本質を得ているものの愉しみ、人も家具も同じである。(New fabric)
Model F675 butterfly lounge chair by Pierre Paulin
ピエール・ポーランが描き出すデザインはファッション性に富んでいる。観る側の自由度をどんどん広げる節がある。アイデアは無限大だと作品が微笑みを浮かべているように映る。その様子が刺激となり、勢いを帯びて益々魅力が増してゆくのだ。眺めれば眺めるほど随想していた通りだと実感する。家具好きを魅了し続けるこの作家のデザインは、作り手と使い手の相互間に計り知れない何か特別なものを生むようである。
Clam chair by Philip Arctander
可愛いフォルムが特徴的なフィリップ・アークタンダーの代表作「クラムチェア」。見るからに心を温和にしてくれる。包み込むように体をすっぽりと迎え入れてくれるので、心が和むのだ。次に少し距離を持ってオブジェを観るように鑑賞してみた。作品を離れて眺めると脚先の丸みが効果を出していることに気付く。クラムにシープスキンが用いられる理由は明快だ。もこもこした雰囲気が温かな風景を作り出し、空間の印象を絵画のように写す。その様子は、まるでライフストーリーに幸せを溶け込ませているかのように精美である。
Shell lounge chairs by Miroslav Navrati
色合わせを楽しんでいる作家の姿が目に浮かぶ。ミロスラヴ・ナヴラティの作品に宿る至妙の面持ちはユニークで軽快、絶妙に施された形状と素材のバランスが目の肥やしとなり、ひねりの効いた日常を導き出す。芸術性を帯び、実用を兼ね備え、そして何よりアイデアを掘り起こす。使い手の五感を刺激しながら存在し、時にリラックスを提供する、まさに匙加減が愉快な小粋作品である。
Boomerang rocking chair by Mogens Kold
この作品を初めて見たときの感想だが、手帳には「見知らぬ場所なのにようやく辿り着いた感。」と書かれている。経験したことのない時間の流れと超然としたデザインが相まったのだろう。ブーメランチェアというその名の通り形状が至極ユニークで、非凡のみが持つ佇まいを放つ。デザインが確固たる信念を持ち合わせているようである。作家の偉大な想像力は、空間に奥行きを持たせると同時に時間の尊さを際立たせるに違いない。
Model FD130 sofa in teak by Peter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsen
1960年代にデザインされたPeter Hvidt & Orla Mølgaard-Nielsenの作品。彼らが生み出すデザインの特徴は挑戦し続ける姿勢がデザインに表れていること。時に大胆な挑戦にもかかわらず、作品に収められた時には小綺麗に装われ、フォルムの線を追うにつれ、どんどんその耽美な容姿に引き込まれていくのだ。比類なきデザインの美しさは、日毎に変化するさざ波のように使い手の感性を磨きながら同じ風景に奥行きを持たせるだろう。
Model FH3103 T-chair by Arne Jacobsen
ヤコブセンデザインのイメージは、道草の途中で思いがけず大好きだった人に出会ったようなウキウキ感を伴う。更に、ユニークな形状は作品自らデザインを面白がっているように錯覚させる。空間にポツンと置いたときの印象が一変する様子は、なんとも言えない味わいである。個性あふれる造形と、日常の交わりを心ゆくまで愉しみたくなる、そんな作品だ。
No. 8 dining chair in teak by Helge Sibast
クリエイティブな想像力がギュギュッと凝縮したヘルゲ・シバストのダイニングチェア。細い線を幾重にも伸ばした芸術的技法が、座面を宙に浮かせる格好で視覚的効果を生んでいる。どの角度からも美しいが、横から見た「Y」の特徴ある容姿は心動かす究極のモダニズムである。また、俯瞰から眺めると、背面から肘置きへは「U」の文字、その先端から後脚へとデザインが流れてゆく。この構造美からも、シバストの秀峰にも似た才能の豊かさをうかがい知ることができる。